キャリアに関する書籍「ライフピボット」

今、話題となっている書籍「ライフピボット」を読んだ。書籍の感想と、私自身の経験も踏まえて理解や納得したことを書かせていただく。誰か1人でも、キャリアを考える一助となればと思っている。

人生100年時代と言われるようになり、これまでの終身雇用や長期的なキャリアプランを描いて、そのキャリアを目指すような時代ではなくなっている。近年の、多様化や複雑化、急速な変化、不確実性と言われるVUCA時代に、新しいキャリアの考え方を提唱しているのが「ライフピボット」だろう。これからのキャリアに少しでも迷いがある人は、読んで損のない書籍だ、というのが率直な感想である。

書籍「ライフピボット」の内容の解釈

私の解釈、私の経験を交えて、書籍から学んだポイントや書籍の概要などをお伝えさせていただく。

なぜライフピボットが必要なのか

人生100年時代、VUCA時代、グローバル化、多様なイノベーションの登場など、今、時代は目まぐるしい変化の中にいる。その中で、我々は今までのようなキャリアの考え方ではなく、新しいキャリアの考え方をもち、この時代に相応しいキャリアを歩む準備を始める必要がある、ということだ。

ライフピボットとは

著者は「経験の蓄積と偶然がキャリアの転換を実現する」と言っている。
蓄積+偶然=転換(ライフピボット)である。

仕事の経験や、今、自分の目の前にあることに一緒懸命に取り組むような経験を、どんどん積み重ねていくこと。そして、偶然を味方につけるということ。クランボルツ教授が計画的偶発性理論というのを提唱しているが、個人のキャリアに影響を及ぼすような機会や出来事のおよそ8割は、予想できない偶然性によってもたらされる。チャレンジ精神や好奇心などの行動特性を発揮して、偶然を意図的に引き寄せていくことが重要である。この経験の蓄積と、引き寄せた偶然という機会を組み合わせて、キャリアの転期に繋げよう、というわけだ。

私自身、今「生涯、人材育成の道を歩んでいく」と心の底から思っているが、20代の頃は、そんなことを1mmも思っていなかった。振り返れば、蓄積と偶然が、まさに、今のこの人材育成者というキャリアへの転換につながっている。

私が過去に蓄積したことと、そこから繋がった偶然について

Webスクールに通学 / Webスクール講師 / フリーランスのWebディレクター / 役職者としての部下マネジメント / 経営者と多様な経験をしてきている。その中で、その時、その時、目の前のことに必死にやってきた経験がある。誰よりもWebスクールで一番頑張った自負がある。経験値の少ないクリエイターとしてWebスクール講師になったので、他のどの講師よりもしっかり準備したし、色々なことを工夫した。

Webのスクールで誰よりも頑張ってきたから、当時のスクールスタッフが、卒業した半年ほどの私に、講師をやってみない、と声をかけてくれたのだと思っている。講師になって一所懸命にやってきた。講義内容もだが、受講生やスクールでの人のつながりなども大切にしていた。そんな中でつながっていた、過去に受講した1人の生徒から感謝の涙をもらったことがある。この時、人のキャリアを支援することに大きな価値を感じた。

部下のマネジメントをするようになり、ビジネス書や自己啓発書をたくさん読んだ。ピーク時は年間100冊は読んだ。外部セミナーにも参加したし、色々な人たちと繋がった。メンターとして尊敬できる方が何人かできた。そこから色々な世界が広がったし、コーチングを勉強したいと思った。その時、教育訓練給付制度があった産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの勉強をして、資格を取得した。だから、旅するキャリア・カウンセラーと名乗れている。

こんなふうに、目の前のことに一所懸命にやってきた経験と、そこからつながった偶然(機会)が組み合わさって、キャリアの転機が節目節目に訪れている。違うキャリアへの横への転換もあれば、一段上へのキャリア転換もある。斜め上への転換もあった。

まさに、この書籍ライフピボットが伝えていることだと、自分の体験から感じることができた。

ライフピボットを実現していくために

書籍では、ライフピボットを実現していくために、「価値を提供できるスキルセット」「広く多様な人的ネットワーク」「経験によるリアルな自己理解」の3つを蓄積していこう、と伝えている。その上で、ライフピボットをしてみよう、と言っているのだ。ライフピボットには、転職もあれば、副業もあるし、今の企業で働きながら、職場の仕事でのライフピボットもあれば、プライベート時間でのライフピボットなど、様々な観点からライフピボットを紹介している。

私が蓄積していったこと

例えば、私がWebスクール講師をしていたことで、得られた蓄積は色々ある。Webサイト制作に関わる技術的な教える能力だけではな。登壇スキルも蓄積されたし、人のキャリアを支援することを真剣に考えるというマインドや価値観も蓄積できた。スクールの教員や他の講師とのコミュニケーションや関係構築スキルも磨かれた。受講者に、知識以外のことを与える、ということも訓練できた。

そして、受講生、教員、他の講師などとの人的ネットワークも形成できた。他のスクールに移動した教員から仕事の声をかけてもらったこともある、他の講師から仕事の依頼をいただいたこともある、受講生が私が働いている職場に社員として入ってくれたこともある。メンターの1人と思っている講師の方とも出会えた。まさに人的ネットワークだ。

最後に、経験によるリアルな自己理解もある。技術を教えること以上に、人のキャリアや人生の重要な転機を支援することへのやりがいや価値を大きく感じる自分がいる。これが何よりも一番大きな、経験によるリアルな自己理解だろう。他にも、登壇が好きだとか、人が成長するのが嬉しい、一所懸命に頑張る人を支援するのはやりがいがある、誰よりも一所懸命がんばることで他の人が得られない機会が得られるんだという価値観など。色々な自己理解をすることができた。そして、そんな自己理解があるからこそ、Web制作という仕事から人材育成という仕事への転換に対して、迷いはあったけれど、自分の進むべき道と決断できたことに繋がっていると思えるのだ。

その他、書籍が伝えていること

副業というライフピボットを選ぶとしても、収入を得ること以上に、次のライフピボットのために得られること、得るべきことがあることを丁寧に記載してくれている。また、いざ、ライフピボットをしようとすると、それを邪魔する阻害要因にも言及している。

補足をしておくと、ライフピボットは人生の一倍イベントのように、人生の中で1〜2回しか起きないことではなく、人生やキャリアの中で何度も起こすべき転機だと伝えているのだと思う。新しいものを蓄積して、その蓄積したものを活用して、片足をピボット(軸)にしながら一歩移動する。これを繰り返して、キャリアを創っていく。そういう感じだと思ってもらえれば、作者が伝えたいことと、ズレていないはずだ。

そして、蓄積をするための具体的な6つのアクションというのを、後半では紹介している。それもまた、私自身が行動してきたこととリンクすることがたくさんあった。

これは、書籍の内容とは関係がなく、私がいつも大切にしている価値観の話になるが、6つのアクションは、どれも難易度が難しいことではない。ただ、どんなことでも、新しいことをする、ということには、人は心理的な心のブレーキが働く。そんなことやる自信がない、時間がない、上手くいかないかもしれない、人からどう思われるんだろうか。

やり始めることができても、3日坊主になってしまう。やっぱり時間がない、こんなこと意味がないかもしれない、あんまり効果があるように思えない。そんな風にやらなくなる理由が、心の中から無意識的にどんどん湧いてきて、やらないことを正当化してしまう。それが心のブレーキだ。

どんなことでも新しいことを始めて、継続するには、ものすごいエネルギーがいる。だから、私は次の5つのことを大切にしている。・小さい目標を立て、小さいことから始める。・それを継続する。毎日、小さい目標にして、毎日達成することを最優先する。・やろうと思ったら、48時間以内に実行して48時間以内に達成する。そのためにも48時間以内に達成できるレベルの小さな目標にする。・小さな一歩を踏み出すことの重要さを、自分の中で何度も自分に伝える。・習慣化になるまでが大変。だから、それまでは頑張る。

最初は、ものすごい大変なのだ。でも、続けていくとだんだん楽になってくる。当たり前になってくる。いつも、ギリギリまで寝ている人が、急に朝6時に起きるのは辛い。でも、毎日6時に起きていれば、1年後には、朝6時に起きている自分の方が当たり前に思えてきてしまう。だから、最初を乗り切るテクニックやスキルは磨いてほしい。
そういう小さな最初の一歩を踏み出して継続させる経験値とスキルさえ高めていけば、ライフピボットが提唱している6つのアクションをやることは、別に難しいことではないと思う。朝7時に起きていた人が、朝6時に起きることと同じことだ。

まとめ

こうやってブログを書いていると、色々なものが蓄積される。

ライティング能力が上がるだろう。書籍を読むのが上手くなるかもしれない。時間内に伝える力が磨かれるかもしれない。他のブロガーさんと繋がるかもしれない。書評を書いてみませんかと企業から依頼が来るかもしれない。書くことが好きな自分に気づくかもしれない。人に伝えることが好きな自分に気づくかもしれない。はたまた、書くことより伝えることより、副業で稼ぐことが優先な自分に気づくのかもしれない。

まさに、「スキル」「ネットワーク」「自己理解」の蓄積だ。

ライターに転職する機会がくるかもしれない。今の職場で、ライティングスキルを発揮して評価が上がるかもしれない。今の職場で部署移動でライティング能力を生かせる職務につくかもしれない。今の仕事のかたわらでライティングの副業を始められるかもしれない。プロボノでブログ記事制作やライティングを始めてみたくなるかもしれない。ブログだけじゃ飽き足らずYouTubeデビューをしてYouTuberになるかもしれない。

まさに、ブログを書くという軸足+蓄積+偶然によって、ひとつ隣のキャリアにピボットすることが見えてくる。
だから、ブログを書くというアクションを始めよう。でも、阻害要因や心のブレーキがあるから、それを最初にわかった上で、乗り越えて一歩を踏み出して、ライフピボットのための蓄積を始めよう。そして、ライフピボットしていこう。

すごく雑な例だが、そういうことだと、私は思っている。

結論。おすすめの1冊です

ライフピボットは、キャリアをどうしようか少しでも悩んでいる人には、読んでみることをおすすめする1冊だ。やりたいことが見つかっている人以上に、やりたいことがわからない、将来の見通しが立たない人にとって、おすすめできる1冊かもしれない。やりたいことを見つける話でもなければ、将来の見通しやキャリアプランを描くための話でもない。

新しいキャリアの考え方が求められる時代である。今の仕事や自分の目の前にあることを頑張ったり、一歩だけ新しいアクションを取り入れながら、ピボットに必要なものを蓄積していく。そして、偶然を偶然ではなく、自らの行動特性を磨いて、偶然を今よりも引き寄せるようにしながら、経験の蓄積と偶然を組み合わせて、今の自分のキャリアという軸足を置きながらも、もう片方の足はピボット(転換)させていくのだ。

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